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愛工大興

採用情報

社長インタビュー

佐藤社長がこの業界に入ったきっかけを教えてください。
当時はこの仕事がしたかったっていう強い想いがあったというわけではなかったですね。私は昭和53年(1978年)入社なんですが、丁度その頃は日本全国の送電設備を拡充していこうという時代で、成長分野ではありましたが、それを見こしてこの業界に入ったわけではないです。当時は今みたいに求人が無くて色々選べなかったですしね。ただ自分は技術的なことは嫌いではなかったですし、学費も安いということで学校は宮城高専に入ったんですよ。そこで5年間学んで、いざ就職先を探していると、この会社は「現場」が主で、学んだ技術を活かせそうだったので「現場もいいな」ってことでたまたま入社したんです。一緒に学んだ優秀な学生は日立だとかNECだとか当時の電気関係のトップクラスの会社に入社してましたが、私はそこまで優秀でもなかったのでこの会社、的な(笑)。
この仕事の魅力は何でしょうか。
私は今まで青森県や長野県の山中や新潟県の田んぼなど、送電線の現場を20年やってきたんですが、日本中の行く先々でその地域のいろんな方にお会いできることが一番楽しかったです。鉄塔はその地域の人々の協力があって初めて建てることができるんです。着工する前に周辺住民の皆さんに説明をし、承諾していただき、地元の工事関係者の方々に実質的にご協力いただいたり。自分にとってはその地域の人々との繋がりを構築できるところが大きな魅力の一つでした。
鉄塔を建てて工事を完遂させることに対しての技術者としての達成感や充実感、自分の技術能力をここに注入することが出来たっていう嬉しさも当然ありますが、でも一番最初にその地域の皆さんにお会いしてご協力をいただく、という作業がないとその全てができないわけです。だから初めてその地域に足を踏み込む時の地域の皆さんとの出会いはとても大事なんです。


私の経験で一番長かった現場は3年ですが、3年ぐらいいるともう地域の一員と言いますか、一体感が生まれます。やっぱり地元との一体感がなければ工事というのは上手くいかないんですよ。そういう現場で出会った方々とは今でも繋がりがあって、近くまで行くことがあれば立ち寄ってみたり。技術者としては直接関係はないかもしれませんが、私としてはそれも含めて魅力であり、財産ですね。
でも現場では楽しいだけではなくて、苦しいことなどがあったと思いますが。
そうですね。外の仕事ですから、天候がいつも良いとは限りませんし、中には危険を伴う作業もありますので。仕事ですので楽しいことばかりではありません。
それでも辞めずに続けてこられた理由を教えてください。
他にやりたい仕事もなかったですし、その仕事を完成させることが技術者としての自分の使命であり、その使命感の方が強かったので、辛いからと言って気持ちがグラつくことはなかったです。自分の持ち場が完了せず、電線を繋げることができなければ、その設備全体が完成せず他の会社の仕事も全部をダメにしてしまうわけですからね。

世間で思われている「危険な仕事」というのはほとんどの場合、扱っている道具一つ一つを大事にして、やるべきことをきちんとやって、守るべきルールを守れば安全に遂行することができます。たとえば鉄塔に電線を引っ張ってくる作業では作業員が小指ぐらいの太さのワイヤーに命を預ける、というような場面もありますが、そのワイヤーという道具の扱い方をきちんと守ることで安全に作業ができるんですね。
こういったことは我々の仕事に限ったことではありません。車の運転や調理器具、暖房器具など、扱い方をきちんと守ることで安全が担保されています。日常で使う道具のほとんどがそうです。結局はそれを扱う人次第ですよね。
佐藤社長はこの会社の8代目とのことですが…
うちの会社は2代目以降、取引先の大きな会社から社長が派遣されてくる、というかんじでやってきたんですが、東日本大震災以降その方針が大きく変わり、結果的に私がなったんです。まさか自分が社長になるなんて思ってなかったです。
それはすごいことですね。40年前に入社してからずっとこの会社で技術者として働いてきた、現場を知り尽くし、会社と共に時代を歩んできた、初の社長というわけですね。社員の皆さんにとっても頼もしいと思います。
いやいや、そんなにたいそうなことではないですよ(照れ笑い)。それに社長という仕事はあんまり現場と密接になることは好ましくないんです。確かに社長としていろんな判断をする上で、現場を知らないと的確な判断ができないこともあるし、逆にある程度クールに見て判断を下すことも必要な時があります。かと言って全体を知らないのに判断するのは危険な場合もあるし、なまじ知っているからこそ判断が甘くなっちゃっても不味いですし・・・その加減が難しいな、と思うことはあります。

あと、従来の社長と違うことは、ずっと現場でやってきましたので社長になる前からお付き合いのある取引先から直接私に技術的な相談がくることがあります。それに関しては、自分の今までの経験の中で得たノウハウや知識が皆さんの役に立つのであれば嬉しいことですので、躊躇せず対応させていただいています。また、それが「社長だってこういうことをしてるんだから」と社員への多少はPRになるのかな、と思ってやっています。
仲間、社員のみなさんとの間で最も大切にしていることを教えてください。
「言いたいことを言う」ってことです。
と言うのも、うちの会社は一時期社員が60人まで減った時があったんですが、今は100人、その増えた40人というのは中途採用の方が多いんです。最初の60人も他の会社と合併して60人になったわけです。つまり、会社の過去の歴史を知らない人達が大半を占めているわけです。そういう社員が安心して働けるためには、社長も含めてきちんと本音で話せる仲間、環境じゃないとこの会社に魅力を感じてくれないだろう、って思うんです。
ですから話を聞くし、自分も言うし、技術者ですからキレイ事は言わないですし、そういう意味で「言いたいことを言う」ということを大切にしています。
でもみなさん、技術職ですし、どちらかと言えば内に向くタイプと言いますか…
最初から言いたいことを言うのって苦手なのでは?
それが意外と結構みんな言いますね(笑)。遠慮なく。若い人たちも。直接社長室に来る者もいれば、懇談会でお酒飲む機会では、若い人たちも寄ってきてくれて話をしてくれます。それは嬉しいことですよね。私としてはそうやっていろんな社員の話を聞くことは、かつて現場に入っていた時その地域の人たちの話をきくことと同じというか、延長線上なんですよね。
具体的には若い社員の方々からどんな話がありましたか?
やっぱり私もずっと現場だったので、若い時に現場で経験する悩みって、ある程度わかるんですね。現場を経験して3年目、5年目、その時々で経験する悩みっていうのは「おそらくこんなことで悩んでいるんだろうな」って想像しながら助言したりします。例えばある程度仕事ができるようになると、自分が知らないことを質問されたり、責任者になればいろんな関係業者さんから問い合わせが集中したり、万が一何か間違った時にはどう対応すれば一番早く解決できるか、などです。失敗の経験も沢山してきているので。私に聞けば自分のためになるってことが分かっているんでしょうね。
現場の悩みを解決するために遠慮なく社長に聞きに行く。この規模の会社ではなかなか見ない光景だと思います。
もちろん全部ではないです。ほとんどは直属の上司に相談し、解決するので。でも一応私も対応可能ですよと(笑)。
御社の大きな強みの一つですね。
そうなんですかね。そうだといいですね。自分ではよくわかりませんが、そうありたいとは思います。
世の中が変化しても絶対に変えたくない「こだわり」を教えてください。
昔私がけっこう大きな現場の責任者として携わった時からずっとこの考えを曲げてないんですよ。(1枚の紙を渡される「品質管理基本方針」)

これは自分が副社長になった時からずっと訴え続けていることです。会社の企業理念として付け加えてはおりませんが、現場には必ずこれを掲示していますし、メールの著名部分にも入れています。「誠意」「創意」「熱意」そして「粘り強く」これが私の信条です。
脈々と受け継がれてきた歴史ある会社ではありますが、今現在はやはり「佐藤社長が率いる、社長がリーダーの会社」なんだなと、改めて感じます。
社長はこの仕事を次の代にどのように伝えていきたいですか?
「いろんな人との出会い」、「自分の仕事の満足感、充実感」といったことに喜びを感じ取れる人を育ててほしいと思っています。
数ある電気工事会社の中でお客さんはなぜ御社を選んだのだと思いますか?
お客さんが選んでくれる理由は「いい仕事をする」ことしかないと思っています。うちの会社は電気工事の業界でいうとかなり小さいほうなんですが、大手の会社がいっぱいある中で私共のような小さな会社を選んでいただけるのは、「会社が大きいからといっていい仕事をするとは限らない。愛工大興は小さくてもいい仕事をする、いい仕事が期待できる」と、お客様に思っていただいているからだと自負しています。
素人質問ですが、いい仕事をしているかどうかは、お客さんはどうやって判断するんでしょうか?
工事をしている過程でしょうね。内線の工事なんかではお客さんが直に見ていますから、「この会社は本当にちゃんとやってくれているんだろうか」って。お客さんはいろんな会社を見てきていますから、常に比較の対象です。いい仕事する、しないはすぐにわかると思います。なので社員にも「お客様はうちだけを見ているんじゃないよ」って、意識するように伝えています。
そういう意味では「人」が大きいですね。
もちろんです。仕事の良し悪しを左右するのは「人」しかないです。ですからお客さんも「あの人が来てくれるなら、次も案件もお願いしたい」と言って人の指名から仕事の依頼がくるんですね。やっぱり人にお客様が付くんです。送電線は入札なので残念ながら人に仕事が付いてくるシステムではないんですが、内線工事はその「人」の実力で受注が増えているんです。うれしいですね。
他社よりも優れていることは何でしょうか。
「現場解決力」です。
現場って常に問題が起きるものなんです。いろんな関係者が絡み合っていて順調に何事もなく進むなんてことはまずあり得ない。だからこそ「現場力」「現場解決力」は重要でなんです。また現場は「判断」の連続です。どうすればいいのか、その都度自分で判断できなければ現場を仕切ることはできません。その判断力を磨くことが、どんなにベテランになっても大切なことです。
「判断」という部分では「社長」になった今でも的確な「判断」をしなければなりません。だから私はその判断力を磨くためにも、マメにいろんなセミナーに足を運んで勉強していますよ。経営系の勉強会とか、自己実現系のセミナーとか。社員と一緒に私も参加するんです。いろんな知識を習得するという目的の他に、もう一つ理由があって、今自分の考えている事や、やっていることが正しいのかどうか確認するために行くんです。だって「社長それ間違ってますよ」ってハッキリ言ってくれる人ってなかなかいないじゃないですか?なので常に確認作業を怠らないように、新しい知識やためになる知恵を授けてくれるような集まりには積極的に通うようにしています。それは現場から離れた時からやっていますね。学生の時より今のほうがよっぽど勉強していますよ(笑)。
あまりネガティブな質問はしたくないのですが、あえて伺います。
嫌いなタイプは?
自分の腕を磨こうとしない人は嫌いです。技術者としてその人の成長はそこで止まるわけですから。「歳をとっても腕を磨くことは自分にとって大事なことだ」と思えない人は残念ながら好きにはなれません。「もういいや」っていう人は、こっちも「もういいよ」って思っちゃいます。それに会社としてもそんな人が沢山いても意味がないんです。
そんな人が100人より、常に自分磨きを頑張っている人20人のほうが勝てるんです。それに、一生懸命目標を持って頑張ってやっていると周りが必ず応援してくれるんですよ。周りを巻き込む力も生まれる。そしてそういう力を持っている人がうちの会社を引っ張っていくリーダーになっていくんだろうと思います。自分だけでは大したことはできませんから。自分の力と周りの力を合わせる能力が大切ですね。今はそういう力のほうが大事なんだと思います。一人だけでなんぼ出来てもダメです。今はそういう時代ではないと思います。
現在は「送電線工事」と「内線工事」は2本柱になっていますが、今後の新しい展開として具体的な計画があれば教えてください。
電気工事の周辺という中では「風力発電」の仕事に進出していきたいですね。自然エネルギーはこれから社会から求められる技術だろうなと思いますので、あくまでも「電気設備工事」の分野でもう一つ柱を持ちたいと考えています。もちろんそういったことも自分だけでなんとかしようとするんじゃなくて、同じ方向性をもつ会社や仲間を巻き込みながら、協力を得ながら実現していきたいですね。全く畑違いのことはしようとは思いません。
御社は中途で入る人も多く、また新卒の離職者もほとんどいないということですが、働く人にとって御社の魅力は何だと思いますか?
同じ業界の中で腕を磨いてきた技術者が入ってきてくれることは本当に嬉しいことではあるんですが、何で入ってくるのかわからないんですよね。同じ業界の中ではとりわけ待遇がいいというわけでもないですし。ただ、頑張って会社に貢献した人を評価する制度は導入しています。もちろんその評価制度が完璧だと思っているわけではありませんので、社員のひとりひとりがやりがいを持って幸せな人生を作れるように、常に問題意識を持ってブラッシュアップしていくつもりです。
評価制度で大切なのは「評価する側」の意識です。どんなに部下が頑張ったってそれを組み上げる能力が、評価する側に備わっていなければ部下の人生を良くすることが出来ないわけですから。そこが評価制度の難しさだと思っています。
東京にあった本社を仙台に移転したというのは重大な決断だったと思いますが。
その理由を教えてください。
「採用」が一番の理由です。弊社は東日本の仕事を多く請け負っており、青森、岩手、福島には営業所があります。今後その地域の電気設備を保守・維持する仕事を続けていくためには、東北の中心である仙台に根ざしていった方がいいだろう、という私の判断です。結果的に現在は送電線工事の仕事が多い東北は新卒の採用がほとんどで、内線工事が中心の東京は中途採用が多いですね。今のところ順調に進んでいると感じています。
社長のお話をうかがっていますと、明るい未来しか感じませんね。
みんなに「明るい未来を示すこと」が社長の仕事ですからね(笑)。それに共感してくれた人が集まってくれて実際に社員みんなで明るい未来、幸せを掴んでいくことが会社の存在意義ですから。
ただこの仕事は採用の入口で親御さんの反対も多いのも事実です。「あんな高い所に昇って危ないんじゃないか」という。そりゃあ、お父さん、お母さんが心配する気持ちは理解できますよ。私だって入社当時反対されましたから(笑)。

でもその一方で新卒の離職者がほとんどいないということも事実なんです。即戦力となるベテラン技術者の他社からの流入が多いことも事実。「仕事のやりがい、働きやすい職場環境」、「幸せな人生を歩んでいけそう」って感じてもらえてるのかなって思っています。
そこは自慢できる部分です。

これからも会社に関わるみんなのためになることであれば、「誠意」「創意」「熱意」の精神で「粘り強く」挑戦していきたいと思っています。